harmoniker was here: 「戦い」と「理解」と

2006年06月12日

「戦い」と「理解」と

　BigBangさん、こんにちは。コメント欄に書こうかとも思ったのですが、長くなってきたのでエントリーを立てることにしました。　滝本さんへの返事で佐々木さんが『「戦い続けない選択」もアリ』と言っているとは、ぼくには読めませんでした。戦うのはいいけれど、目的や様態に問題がある事例はないですか、という問いかけと受け止めました。ま、誤読かもしれませんが。

　こういうことを書くと「オウムを利するもの」として叩かれそうですが、彼らがなんであんなことをやったのか、事件後も教団から決別しようとしない人がなぜいるのかを「理解」（許容のニュアンスは含めていません）しようと試みるのは、可能かどうか、可能だとして有効な対策が見つけられるかは別として、「戦い」を続けるためにも必要なことだろうと、ぼくは思います。

　よりよい「理解」には、一般に、時間と、信頼できる情報と、冷静な環境が必要でしょう。ブログで拝読する限り、BigBangさんの言動は基本的にまっとうだと思います。ただ、それに乗じる形で「あんな奴らは＿とにかく＿排除すればいい」という調子の主張をする人も見受けられ、それはそれで結構ですし、世の中そういうものでしょうし、放って置けばいいのでしょうが、困ったものだなあ、「迫害」に転化しないといいなあ、とぼくは思います。BigBanさんはこの点、どう思われますか？

　多数の犠牲者を出し、多くの人に恐怖を与えた重大事件だからこそ、冷静な議論を望みたいのです。被害者やその家族にとっては言語道断なことでしょうし、その怒りと悲しみには、頭を垂れるしかないわけです。しかし、あの事件から、同種事件の再発を防ぐことに多少なりとも貢献しそうな教訓を汲み取るためには、必要なことだと、やはり思います（被害者や家族が冷静な議論をしていない、望んでいないと言っているわけではありませんので、念のため）。

　佐々木さんが松永氏インタビューで言っている「松永氏への身元公開要求は、信教の自由の観点から問題だった」という趣旨の発言にしても、「安易な相対化」との批判がありますが、信教の自由との関係は、我々の社会が寄って立つ原則の一つとして、押さえておくべき点だとぼくは思います。そのうえで、「制限すべき事例もある」「その場合の条件はなにか」「原則は曲げるべきではない」などという話を、粛々とすればいいのではないでしょうか。

＃蛇足ですが、インタビュー全体について言えば、「肝心のことを聞いてないじゃないか」との批判が強かったようで、それには頷ける部分も多いのですが、それでも、３人の質問者の中で曲りなりにも筋の質問を一番多くしていたのは、佐々木さんだったな、というのがぼくの感想です。あのインタビューが、松永氏擁護につながるという主張にも首をかしげます。あれから10年以上を経ていまだに「ピンとこない」という同氏の発言を読んで、心情的に彼を応援する人がいるとも思えない。あの特殊な形式のインタビュー１回で全てが分かるとも思えないので、今後も継続的にやってもらえるといいのですが、難しいんだろうな。

　以上、乱文失礼しました。日本にしばらくいないので、感覚がずれているところもあるかとは思いますが、考えたところを書いてみました。

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この記事へのコメント

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Posted by 名無し at 2006年06月12日 06:55

今晩は。

私は佐々木さんを批判していますが、佐々木さんが松永さんのインタビューでとった態度は、R30さんや泉さんに比べて格段に「まとも」であったと思います。それは同意見です。

私が佐々木さんの態度で残念に思うのは、オウムに対して佐々木さん自身が「揺れて」おり、あるいは「ぶれて」おり、それがこちらに伝わってくることです。ジャーナリストと言えでも人間であり、見方が定まらないことは異常なことではありませんが、やはり「ジャーナリスト」には、私達にはない格段の重い責任がある、と私は思いますが、佐々木さんは意図的にか、非意図的にかわかりませんが、そこから逃げているように見えます。

それが、泉さんへの姿勢にも現れているし、松永さんへの姿勢にも現れているように私には見えたのです。もっとも歌田さんになると、この「ジャーナリスト」という言い方の重みすら否定されるようですから、それに比べても佐々木さんは遥かにまともだと思います。

それだけに、まず「オウム的なものを許さない」ということをはっきり言う前に、「理解」を打ち出す姿勢に違和感を覚えるわけです。果たして、明確な拒絶の意思無しに、「理解」というのはありうるのだろうかと。思ってしまいます。（ここは鶏と卵のようになりそうだと思いますが）

議論のテーブルに載る前に、ヒステリックに排除のみを叫ぶ人たちも確かにいます。その姿勢は私も良しとはしません。そうした人たちの、オウム信者あるいは元信者への排撃のネットでの象徴として、私のことが引用される場合もあり、それについては、自分の姿勢も含めて、気を緩めてはいけないと思っています。

一方で、かつて宗教学者の島田裕巳氏や中沢新一氏は、オウムへの断固とした拒絶の姿勢を打ち出すことができずに、結果的に彼らの宣伝の一翼を担い、批判を浴びました。

曖昧な姿勢を出すことは厳に慎まなければならない。その上で理解すべきことは理解し、保証すべきことは保証しなければならない。明確な拒絶の意思が確認できないところで、しかも言葉の上面で理解を言うことこそ、非常に危険なことだと考えています。

それはそれとして、私のブログへもなかなか、批判が書き込みにくい雰囲気があります。それもあってこのような場所で、ご意見をいただいているのだと思います。これは複数の方から指摘を受けていることであり、微力をお詫びします。

今後ともよろしくお願いいたします。

Posted by BigBang at 2006年06月19日 01:59

BigBangさん、いらっしゃい。コメントをありがとうございます。

　BBさんが「ゆれ」「ぶれ」と表現される、佐々木さんの「対オウム観の非明示」ですが、踏み絵を踏まされることに対する嫌悪感もあるのではないかなあ、とぼくは思っているんです。オウムについて発言する前に、「NO」とまず明示的に言うことを求める雰囲気に対する反発というか。

　「社会的責任が格段に重いジャーナリスト」である以上、当然の手続きである、とお考えになる人も多いのかもしれません。しかし、そりゃ、強要することじゃないだろう、という意見もありえる。逆に、「NO」と言いさえすればいいのか、と問いかけたくなる。

　アメリカの話で恐縮ですが、去年の前半くらいまでは、イラク政策批判をすると「愛国者ではない」との批判が出るような雰囲気があって、「私は愛国者だが…」という前振りなり中振りをしながら発言するひとが結構おり、外国人のぼくは「窮屈そうだな」と思ったものです。「絶対悪」たる「オウムの犯罪」と、まがりなりにも議会の承認を得たイラク戦争では、比較の対象にならないのかもしれませんが、「踏み絵強要の構造」の部分では似通っているのではないか、というのが私見です。

　佐々木さんの真意は推測することしかできませんが、ぼくは結構昔から彼の書いたものを読んでいるので、「オウムの犯罪」を許容するようなタイプの人にはどうしても思えないんですよね。問題が問題だけに、そう受け取られることも避けるべきなのかもしれませんが、そこはご本人の選択の問題かと。

　なお、このエントリーはアップ時にBBさんのところにTBを打ったのですが通らず、面倒だったのでそのままにしておいたものです。つなぐと色んな人が来るだろうな、と思ったのは事実ですけどね（笑）。特に「批判が書き込みにくい」ということもないと思いますよ。お気になさらぬよう。今後もご健筆を期待します。

PS　あ、ぼくは「オウムの犯罪」には「NO」と言いますよ（笑）。今も信者であり続ける人たちには、不思議の観がぬぐえませんが、まあ、詰っても始まらないので、機会があればじっくり話を聞いてみたいとも思います。対話は時に鬱陶しいものですし、「話せば分かる」とも思いませんが、やはり、理解にはコミュニケーションが必須だと思うので。

Posted by harmoniker at 2006年06月20日 04:38

>佐々木さんが松永氏インタビューで言っている「松永氏への身元公開要求は、信教の自由の観点から問題だった」という趣旨の発言

これは、身元公開要求はできなかったが、オフレコでは本人から確認できていたことを意味するのではないかな？　非公開では、身元確定情報が流通している可能性があるね。どうなのだろうか？

ふと

Posted by 通行人い at 2006年07月31日 11:29

Posted by Jennifer Robertson at 2007年08月27日 03:32

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Posted by Joanne Skinner at 2007年10月03日 17:31

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Posted by Alexander Peterson at 2007年10月04日 21:44

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Posted by Lori Blanchard at 2007年10月23日 20:30

Posted by Dee Kennedy at 2007年10月24日 18:47

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